洗濯ダンス

 おーん、おおーん。
 リズムが来る。唸る水流。電流、モーターの回転。
 窓を開ける。すうぉ。部屋の空気が窓の外に吸い込まれる。
 おんがらららだだだ。
 国道に連なるエンジンや、吹き抜ける風が揺らす枝や、自転車のブレーキ音の、混濁した音色が洗濯機の優雅な、体長10mのきりんの寝言のようなリズムと合流する。
 盛り上がってきたようだ。
 パソコンで崎山蒼志さんの『覚えていたのに』を再生、雑音に混ぜた新しい音は、轟音になって部屋に満ちて、私はひとりでむやみにハイになって、ココアのカップを片手に、ゆうらりゆうらり踊っている。
 平日のお昼のお天気は、きもちのよい晴れです。
 おーん、おおーん。洗濯ダンス。