眠っていると頭が爆発した。
半分目覚め、半分は寝ていた。
起きている方のぼくはすぐに「本棚のぬいぐるみが落ちてきた」と分かった。
しかしもう片方の寝ているぼくは現象を夢と結合してしまった。顔や首のあたりに感じる何かの輪郭を、手ではなく顔自体で確かめようとして亀のように首をぐりぐり動かしていた。そうしながらぼくは激怒していた。夢の中でぼくの頭を吹き飛ばした何かに対してすごく怒っていた。
その光景がビデオに撮ってあったらなあと思う。きっと面白い。
ぬいぐるみが落ちてきたのか、それとも本当に頭が爆発して大けがを負っているのか、状況が理解できないままにしばらく怒り続けていたぼくは、ようやく自分が人間であることを思い出して、胸の辺りにずり落ちていたぬいぐるみをひっつかんで本棚の隙間にねじ込んだ。
そうして少し笑った。
狙撃されるというのは、きっとこんな風なんだろう。
強い衝撃には痛みもない感情もない瞬間だけがある。
爆発した。という瞬間。深く、重い、光の衝撃。
何かに気がつく前に、思考が思考として生まれる前に、現実は形を喪う。
その隙間を埋めるように奇妙な夢が生成される。認知の代替品の幻想。システムを止めないための嘘の物語。ぼくは怒り続けるだろう。アスファルトに倒れ込み、血が流れていても。
滑稽に。