2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧
過ぎ去るだけならこんなにうつくしい夜もない。 懐かしい静寂だった。 原風景に還って一年は幕を閉じる。
人生には色々なことが起きる。と書き続けてきたけれど人生には色々なことが起きる。帰郷した途端、喪主の補佐みたいになったりするし、雪かきをしまくってミニスキー場を作ったり、老母を抱きしめたり添い寝したりすることになる。どれだけの経験をして人間…
僕は老母を抱きしめて風呂場で泣いた。
「正解は無いです」と葬儀屋は言った。 「一人は寂しすぎるな」と母は呟いた。 「東京に来ればいいじゃーん」と姉は言った。 今年一番の成果は20年疎遠だった二人を会わせた事。 僕はずっと人間のままでいるのだろう。生の人間のまま。 なめらかな布を取り、…
早朝の渋谷の空気は落ち着いていた。冷たく澄んでいた。よそよしかった。それぞれの孤独が体の形にしっかりと収まっていた。巨大な交差点を行き交う人々はうつむいていたし静かだった。人間を狂わせるのは熱と音なのだと思った。 健康診断はなんの問題も無く…
姉に貰ったジェラピケのパジャマを何年も着ている。薄い緑色のもこもこした起毛素材のあたたかいパジャマで、胸のところにかわいい恐竜の刺繡があるのだが、その怪獣の部分がほつれて穴が空いてきた。ずぼんの方もよく見ると生地が薄くなって起毛もぺしゃん…
酷く疲れた。渋谷駅で人を避けることが出来なくなった。体が半分死んでいた。母から連絡があった。新幹線の予約をした。どうなるかなんて誰にもわからないから、間に合わない予定だ。
今日は会社で嫌なことがあった。上司的な人にひとこと嫌味を言われた。たったひとことで僕は深く傷ついた。なんてはかない少年の魂を後生大事にしている無駄。 急にあまり眠れなくなった。退勤して電車の中で眠ってしまい何駅か乗り過ごしてしまった。乗り換…
水曜日が休日なら映画館に行くことにしている。 電車に乗って映画館に行った。予約した時には僕も含め3人しか客がいなかったのに、劇場に入ると5割くらいの席が埋まっていた。ほとんどが僕より年上の方のようだった。そういう映画だったわけだ。監督・倉本聰…
昨日は久々に眠れなかったので今日は一日中眠気と戦った。 Oさんにしゃぶしゃぶ食べに行きませんかと話しかけた。Oさんは予定があったようなので話は流れた。しゃぶしゃぶが食べたい。 昼休みはAさんと会社の近くのカレー屋に行った。エビカレーを食べた。エ…
昨晩、同級生と飲み会をした。都内に一軒しか残っていない居酒屋の一番奥の席に通された。洞窟の最深部みたいな席だった。薄暗く、先がなかった。チューハイみたいなものを何杯か飲んだ。今の私にはこの程度のアルコール量の酒で充分なんだと分かった。途中…
とても寒い。風が上着を貫通している。耳が根元から取れそうだ。寒いけれど故郷の寒さに比べたら寒くはない。年末に少しだけ故郷に帰ることにした。あれからまだおじさんは生きている。一時は本当に生死の境をさまよったんだろう。もうひと月ほど経つけれど…
らくがきをした。絵を描くのは面白いけれど描いた絵が面白くなくなった。昨日の絵は面白かった。ちゃんと描こうとしてしまったので、とても面白くない絵になることがわかった。描きながら「ここはどう描けばいいのか分からないな」とか「資料が欲しいな」と…
らくがきをした。 おもしろかった。
洗濯機の中でポケットティッシュが爆発していた。すべての洗濯物にまんべんなくティッシュ片がこびりついた。人類はこの日を『大災厄』と呼び、未曽有の危機を語り継いだ。次の世代が同じ過ちを犯さぬように――。 一貫性がなくても全く構わないんだけれど、一…
どこかに行きたいという気持ちはあるもののどこへも行くあてがない。 どこかへ行きたいという気持ちだけが大きくて、でも自分が行きたい場所なんてもうほとんど経験済みか、類似の経験でしかない。今じゃなくてもいいと思ってしまう。結局、鍵をかけた部屋に…
もう写真なんて撮らない。 変な花が咲いていた。アメフラシに似ているのでアメフラシ花だ。こういう工夫を凝らした独特の形状の花を見ると「神さまのデザイン」という感じがしてどきどきする。彼岸花とかもそうだ。どうしたらあんなかっこいい形を思いつくん…
ピュリッツァー賞みたいな写真が撮りたい。 もしくはソール・ライターみたいなのがいい。 作為のある写真がいい。 そう思ったので、当分写真は撮らないだろう。 スマートホンの充電がすぐに無くなるようになった。 バッテリー消耗度は75%と表示されている。…
植物についてぼんやり考えていた。 シダ植物というやつらがいて、一見するとただの草だけれど、一般的な草とは違ってシダ類は胞子で増える。胞子で増えるのは菌だ。キノコやカビは胞子で増える。シダは葉緑体を持っているから草の仲間だけど胞子で増える。な…
その時、悪いことは何も起きていないと思っている。いつもどおりの、普通の私がそこにいて、私は私を普通だと思っているけれど、自分の状態を正しく認識出来ていない状態が既に間違っているし、普通だと思ってしまっているので修正が出来ない。目を開けなが…