2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

すっと足を踏み外す

「俺の父親は俺が子供の頃に宗教にハマって帰って来なくなったんすよ。借金とかやばいらしいす」とLさんは言った。 彼と出会ってから3年ほどになるが、はじめて聞くエピソードだった。 つまり話すのに3年かかる話なわけだ。 「だからね、そういう家庭は良…

全人類ゲーマー仮説

物理マシンで仮想化アプリケーションを使用して仮想マシンを起動し、仮想マシン内でデータを処理する。そこで処理したデータは物理マシン上のストレージに保存されるわけだから、物理マシンからアクセスすることができる。この時、物理マシン上でデータ処理…

この痛みには名前がある

あらゆる物に名前があるの、わりと好きです。 たとえば、ぼくにはゆびがある。 ゆびの先には爪がある。 そして爪がゆびにくっついているところに、ハイポキニウムがある。 ハイポキニウム!? となる。 突然、聞いたことのない名前が現れる。「そんな変なも…

愚知

無知の知もあれば愚知の知もあるんではないか。 という愚痴。体の芯から疲れている。ぼくは疲れやすい。 人の3倍は疲れやすい。シャア専用疲れやすい。男だろうが女だろうが子供だろうが年上だろうがぼくよりも体力があることが多い。少なくともぼくの知人は…

余白

休日。何もしないことに決めた。 5時30分にアラームが鳴った。布団から体温が逃げないよう、そっと起き上がる。テーブルのスマホをタップする。そっと横になる。達成感でわくわくしてきた。誰も私を止められない。 布団の中で無重力を感じながら「アレクサ、…

元気に楽しく生きていれば

あまり言葉は整理していない。 お年寄りに望むことが「元気に楽しく生きていれば」のみであること、絶望だなと思う。 文字通り、望みが無いに等しい。かなしくなってしまった。生きていればそれでいい、と思って生きて来たし、生きていればそれでいいよ、と…

食べ物

仕事でミスをした。 ぼくはおちこんだ。 ココ壱にカレーを食べに行くことにした。 ローストチキンスープカレーを食べることにした。スープカレーはおいしい。 スープカレーは何故か女性向けのような感じがした。なぜかはわからない。見えざる文化的な圧のよ…

おにぎりこわい

おにぎりがだんだん怖くなってきた。 ● 鞄から平べったいおにぎりが出てきた。 手裏剣みたいになっている。しかも固い。 朝、時間がなくて食べられなかったやつが、変わり果てた姿で現れた形である。 お前、つぶれているね。おにぎりは、つぶれている。 これ…

お母さんはいつか死ぬ

故郷に帰らないことになった。母が謎の心配性を発症し「あんたが今こっちに来て帰れなくなったら困る」と言い出した。おう豪雪。一日に何回か雪かきを迫られているらしいそれは大変だなと思うしそうなれば新幹線だってワンチャン止まるかもしれないから心配…

故郷

今週末、田舎に帰ることにした。一泊二日の短い帰郷になる。 故郷には今、雪が降っているだろう。故郷には雪の種類が七つもある。名前をたくさんつけなくちゃいけないくらい、身近な存在だったんだろう。異様に冬が長い。空はいつも灰色の雲に覆われている。…

現実と虚構

よくわからない考えをよくわからないまま書くけれど、音楽は現実寄りの芸術で、絵は虚構寄りの芸術で、文芸は現実寄りの芸術で、造形は虚構寄りの芸術で、という風に、芸術作品・エンタメ作品・創作物には、現実寄りの物と虚構寄りの物があるような感じがす…

ゲーマー

Kさんが言った。「外黒さん、ゲーム対決をしましょう」 ぼくは言った。「じゃあKさんが一番得意なゲームをやろう」 秋葉原のゲームセンターに入った。 スト2ターボで戦った。 ぼくが勝った。 ギターフリークスで戦った。 ぼくが勝った。 わにわにパニックで…

覚えなくてもいいように

シャーロックホームズが、たしかこんなことを言っていた。 「調べれば分かることを記憶する必要はない」そんなようなことを言っていた。ぼくは中学生でその文章を読んだ時、すごく、気に入った。さすがホームズだと思った。それから大人になった今でも、その…

やわらかい毒

いつも綺麗な格好をしており、言葉づかいも丁寧で、苦しい時にも笑っていて、よく人を助け、誰からも頼られ、慕われているZさんは、女性社員の体を触った疑いで左遷された。ぼくは何度でも何回でも気付かされる。すべての人間は所詮、人間なのだと。そして人…

流れる木の葉

訛ってる女の子って可愛いですよね! と言われハッとした。可愛いのか、訛ってる女の子は。たしかにそういう価値観は風の噂で聞いたことがあるが、しかしなぜ訛りが可愛いのか一向に分からない。訛ってなくても可愛い女の子は可愛いから、訛ってるかどうかは…

変顔をする人

先輩のOさんが変顔をしている。目を見開いてまん丸して、目玉をぎょろぎょろ動かす。シャイニングの狂った作家みたいな顔だ。ぼくはそれをみつめる。真顔で10秒みつめる。それから「怖いですね」と言う。彼は変顔をやめない。ぼくのリアクションに不満を抱い…

簡単だけど難しいこと

パソコンのパーツがAmazonから届いた。1TBのSSDで、7000円くらいだった。安い。マザーボードだかケースだかに付属してきたSATAケーブルが余っていたはずなので、PC周りの道具が適当に放り込んである箱を開けてみると、やっぱり一本出てきた。PCケースのアク…

狙撃

眠っていると頭が爆発した。 半分目覚め、半分は寝ていた。 起きている方のぼくはすぐに「本棚のぬいぐるみが落ちてきた」と分かった。 しかしもう片方の寝ているぼくは現象を夢と結合してしまった。顔や首のあたりに感じる何かの輪郭を、手ではなく顔自体で…

意味もなく震えながら

髪にワックスがついたまま、歯を磨かないまま、馬鹿みたいに明るい部屋の照明がついたまま、パソコンがYoutubeを連続再生したまま、朝を迎える。眠るつもりのない睡眠の終わりにはいつも焦燥とわずかな失見当識、それに行き場を失った睡魔が残存勢力として在…

にんげんになる

会社が暑い。私は半袖のTシャツを着たい。そして業務改善のための方策を考えたり、ストレスを感じていそうな人にくだらないギャグをお贈りしたり、社内連絡ツールで猫がキーボードを乱打してるスタンプとかを送りたい、半袖のTシャツを着た私のままで。 働い…