オルタナティブ日記

運命

ヘルメットが大きい。大きすぎる。バスケットボールよりほんの少し大きいくらいの大きさ。人間の頭くらいの大きさ、であることは自明だから、生首くらいの大きさ。生首は大きい。ぼくはそのことをあまり理解していなかった。生首というものは、非常に扱いが…

ヘルメットと人間

よくあることであるにせよ文章力の衰えを感じる。足りなさを感じる。何を書いても満足せず面白くなく意味を感じられない。何度も感じてきたけれど、感じるたびに「それがどうした」と思う。今も思っている。うまく書けないならうまく書けなくていいし、面白…

無暗

前後を考えないこと、度を超すことを無暗というけれど、言葉の意味とは裏腹に、無暗という言葉そのものは、妙に明るかった。前後を考えて行動すること、度を超さないように注意して行動することは、有暗だということになる。たしかにまあ、何事も慎重に分別…

なにもしてないなりに

何をしているのかといえば何もしていない。でもなにもしていないなりに何かは起きる。「それが人生ですよ」とDさんはほほえみながら言った。 好きな作家の本を電車の中で読んでいて、3ページに一度のペースで泣いてしまう。すぐに読めなくなってうつむいて涙…

エンタメ以外

人間の営みに絶望し、山に向かって緑の中を歩いていると、乾ききった泥が固いブロック状に割れており、何かのきっかけで爆発した土くれが、カロリーメイトの束みたいに成形されて散らばっているのを見て、自然っていいなあと思った。小高い緑の丘の上から子…

たべたいものを食べよう

12個入りの冷凍ハンバーグを買おうかどうか、3日悩んでいる。どうすればいいんだ。冷凍ハンバーグはグレーの薄いボール紙の箱に入っていて、もちろん凍ったミンチで、箱の中に整列している。レビューを見ると「まあまあおいしい」「わたしは好き」「まずくは…

改札までの関係

ぼくとyさんは、業務が終了すると、すばやく身支度を整え、だらだら廊下を進み、ブースに施錠をして職場を去る。 エレベーターまで暗い絨毯を歩きながら、他愛ない会話をする。目がちかちかする、とか。仕事の出来栄えとか、コンビニの棚に並んでいるような…

ひかりをあてる、すきになる

結局のところ最善の策は人間を好きになる。 なのかもしれない。残業をし過ぎて、終電が消えた真夜中だった。高層ビルの目。のような光の集合体の摩天楼の隙間に浮かんでいた月はあかあかと輝いて見えたが、あれはただ光を反射しているだけの岩塊です。これは…

すっと足を踏み外す

「俺の父親は俺が子供の頃に宗教にハマって帰って来なくなったんすよ。借金とかやばいらしいす」とLさんは言った。 彼と出会ってから3年ほどになるが、はじめて聞くエピソードだった。 つまり話すのに3年かかる話なわけだ。 「だからね、そういう家庭は良…

全人類ゲーマー仮説

物理マシンで仮想化アプリケーションを使用して仮想マシンを起動し、仮想マシン内でデータを処理する。そこで処理したデータは物理マシン上のストレージに保存されるわけだから、物理マシンからアクセスすることができる。この時、物理マシン上でデータ処理…

この痛みには名前がある

あらゆる物に名前があるの、わりと好きです。 たとえば、ぼくにはゆびがある。 ゆびの先には爪がある。 そして爪がゆびにくっついているところに、ハイポキニウムがある。 ハイポキニウム!? となる。 突然、聞いたことのない名前が現れる。「そんな変なも…

簡単だけど難しいこと

パソコンのパーツがAmazonから届いた。1TBのSSDで、7000円くらいだった。安い。マザーボードだかケースだかに付属してきたSATAケーブルが余っていたはずなので、PC周りの道具が適当に放り込んである箱を開けてみると、やっぱり一本出てきた。PCケースのアク…

狙撃

眠っていると頭が爆発した。 半分目覚め、半分は寝ていた。 起きている方のぼくはすぐに「本棚のぬいぐるみが落ちてきた」と分かった。 しかしもう片方の寝ているぼくは現象を夢と結合してしまった。顔や首のあたりに感じる何かの輪郭を、手ではなく顔自体で…

意味もなく震えながら

髪にワックスがついたまま、歯を磨かないまま、馬鹿みたいに明るい部屋の照明がついたまま、パソコンがYoutubeを連続再生したまま、朝を迎える。眠るつもりのない睡眠の終わりにはいつも焦燥とわずかな失見当識、それに行き場を失った睡魔が残存勢力として在…

理由も分からずに

AIが絵を描くアプリを使ってみた。左の女の人がチェンソーマンのパワーちゃんのパネルで、その横の機関車みたいのがぼくだ。もう人間ですらなく、しみじみと面白かった。パワーちゃんもずいぶん物分かりが良さそうだ。 身近な訃報が続いている。寒波のせいだ…

『7 Days to End with You』

一日 終わり 家 ひとつ 人 食べ物 風呂 疲れ 記憶 伊集院光 希望 ゲーム 疲れ ない 希望『7 Days to End with You』 ある 言葉 必要 ふたつ 人 少ない 言葉 集める 表情 言葉 口調 記憶 集める 人 希望 集める 終わり ない

初心と基礎

たしかなことは言えないけれど、エッセイも小説も、誰かとの関係を描いているようだと気づいたのは14年前のことで、だから自分の好きな文章を書いてみようと意気込んでいたぼくは、そのことに気づいた時にはっきりと絶望して、なぜならとても孤独だったから…

遅刻警察・友人

今日は高校の友人と遊んだ。午前10時に待ち合わせした。待ち合わせ時間の25分前に到着していたぼくはうどんを食べていた。二人とも遅刻してきた。ひとつ仮説がある。遊びの約束である場合、男はとにかく遅刻してくるのではないか。とにかく遅刻してくる男が…

光・蟹・写真

光療法について、ざっと調べたこと及びやったこと。 ある種の鬱や概日リズム睡眠障害に効果があるらしい処置で、高照度の強い光を1時間程度患者に当てるものらしい。理解はできる。冬季の日照不足によって季節性のうつが発生するなら光を当てればいいという…

競艇場でジャズを聴くとおじさん力がアップする

昼過ぎにむっくりと起き上がる。 今日こそは何か行動らしい行動をしなければならないという使命感に駆られる。 昨日は部屋に引きこもってcharaと一緒に歌ったり、キャンプ用の毛布をマントのように装着して踊ったり、窓辺に佇んで「つばめの巣ってコンクリみ…

未読書の書き出しを全部読み読書が嫌いになる

毎日読書をしているけれど読書のスピードが遅い。著しく遅い。早くなりたいとは思わないにせよ未読書が減らないことに複雑な感情を覚える。集中力が足りない。根性も辛抱も足りない(そんなのが読書に必要なのかはわからないけど)。ずいぶん前からこのよう…

電話を待ちながら

洗濯機を回しながら電話を待っている。 いつ鳴るのかは、わからない。しかし大事な電話なのだ。 上の階で硬いものが床に落ちる音が何度かした。鉄の塊のような、とても硬いものの音だった。そのあとくぐもった人の声がした。落ちたものについて誰かが話して…

一途に狂おしく静かに

ガチ恋って言葉をぼくは素直に気持ち悪いと思うけど、ぼくに気持ち悪がられたところで構うこたないので好き勝手にガチ恋したまえ、というのがぼくの基本的な考え方で、ぼくは自分の考えをブログに書くけれど、ぼくは自分の考えなんてちっとも大事だと思って…

リアル

こうして大人になっていくんだなあって大人になってからも思う。 一軒目の居酒屋に着いて迷った新橋。先輩は1時間30分遅刻してきた。ぼくと元上司は鯨飲。1万4000円をぼくが支払う。 二軒目の居酒屋で先輩が合流。3000円を支払う。終電が無くなり、先輩はす…

爆笑

病み上がりの友人と、仕事上がりの友人と、秋葉原で飲んだ。ぼくのとあるアホみたいなエピソードがめちゃくちゃウケた。こんなにウケたことないくらいウケた。アホなことでも色々やっておくべきだなあって思った。人が笑っているとぼくはうれしい。

風の中で本を読む

多摩川の堤防に座り、エアフォースワンを脱いで揃えて置いた。 バックパックは逆の方向に置いて、モバイルバッテリから伸びたコードはスマホに繋がっている。 スマホにはkindleでプロジェクトヘイルメアリーが表示されている。 目の前には青黒い流れ。水面が…

どうでもいいけど好きなこと

毎朝、電子レンジの中でウインナーが爆発する。 バン! と、くぐもった音が聞こえる。 耐熱ガラスの中に、溶けたチーズが飛び散っているのが想像できる。 大体50秒ほどの加熱で爆発する。 ウインナーの皮は、毎回必ず縦に破裂する。きゅっ、となっているとこ…

クリスマスリバー

クリスマス特別企画をする。 レンタル自転車で多摩川を遡れるだけ遡ろうの回。 13時に出発した。 晴れていて気持ちがいい。 多摩川に着いてイヤホンでAmazonミュージックを聴いたら閃光のハサウェイのあの曲が流れて始まったなと思った。 橋と道が近過ぎて面…

22日の私へ

こんばんは。手短にお伝えします。 Bさんは30分くらい遅刻、Kさんは5分遅刻します。私は40分前にアルタ前に着きます。 集合場所は最初から決まっていません。バスなのか電車なのかも決まっていないですし、宿泊場所すら決まっていません。男の友達同士ならみ…

23日の私へ

お元気ですよね。知ってます。 手紙の最初にお元気ですか、と書きたくなるのは、元気が一番だと思っているからです。 世界の誰よりも、私は私の健康を祈っています。たぶん、今は。どうだろう。きっと。 案外、自分の元気なんてみんな考えていないような気も…