仕事でミスをした。
ぼくはおちこんだ。
ココ壱にカレーを食べに行くことにした。
ローストチキンスープカレーを食べることにした。スープカレーはおいしい。
スープカレーは何故か女性向けのような感じがした。なぜかはわからない。見えざる文化的な圧のような感じがした。
スープカレーはスープだった。そしてカレーだった。おいしかった。
ぼくは仕事でミスをした。
大したミスではない。怒られたりもしなかった。今度から気をつけてねと言われただけだ。
だからぼくはスープカレーを食べたあとに入ったこともない駅前ミスドでドーナツを買った。
家に帰って食べた。おいしかった。
甘かった。
ポケットからバレンタインデーに貰ったチョコが三つ出てきた。
おいしかった。甘かった。
ぼくは自罰的な人間であった。何かがあるとぼくは自動的に自分自身に罰をくだそうとする性質があった。自覚的だった。ぼくはぼくに罰をくだすたびにぼくが強くなっていくような気がした。
気がしただけで別に強くはなっていなかった。自戒ではあっても自戒が改善に直結するわけではなかった。
ぼくは今、自分を甘やかしていることに気がついた。ぼくはミスをして、それを自ら許そうとしており、おそらく慰めようとしており、そして発散させようとしていた。自覚的だった。どちらの方法がよりよいか、より自分を楽にさせるかということはわからない。でも何かがすこし変わってきていると思った。ぼくもすこしずつ変わってきているようだ。自覚できないスピードで。
ぼくは酒の代わりを探していた。長い事探していた。ひとつにはエナドリが挙げられた。ぼくはエナドリを試していて、そしてずっと気に入っていた。モンエナをロックで飲むと最高にうまい。どんな酒よりうまい。しかしエナドリはカフェインが多いので、眠りを妨げることがたまにあった。酒の害に比べるとエナドリの害は大したことがないけれど、それでももっとよいものがあるのではないかと考えていた。そしてぼくはやっと果物ジュースにたどり着いた。きっかけはアキバで飲んだオレンジジュースだった。見たことが無い自販機があって、その自販機の中には生のオレンジがごろごろしていて、どうやら目の前でオレンジジュースを生成する機械らしかった。金を入れて買ってみたらオレンジが歯車におちてきて押し潰されてオレンジジュースが目の前で生成された。汚くないかな~と不安になりながら(異食恐怖)ちょっと飲んでみたらめちゃくちゃうまかった。そうか、果汁100%果物ジュースが最強だったのか、とぼくは気がついた。
今のブームは果物ジュースだ。1リットルのパックを一日で飲み干している。酒よりもエナドリよりも害がすくなく、なんとなく、動物の気分がする。