分厚くてあったかい靴下er

 知人からダンボールが届いた。
 ひと抱えもある大きな荷物で、しんみりと重い。
 床に置いて、カッターでガムテープを切り開く。
 そこには色とりどりのお菓子が入っている。
 たべっ子どうぶつ果汁グミ、ビスケット、おやつカルパス、チーたら、す昆布、カロリーメイト
 テーブルの上がお菓子でいっぱいになった。
 どうやらぼくは、いつまでも子供のままだと思われているらしい。
 果汁グミの袋を開いて、ブドウ型のグミを食べると、甘くてすっぱくておいしい。
 ダンボールの底の方に、ビニール袋に包まれて何か入っている。
 引っ張り出して開けてみると、茶色いもこもこの靴下だ。
 厚みが1センチもありそうな、起毛素材の、エスキモーが履いていそうなもの。
 それをつまみあげ、ふーんと眺めたあと、いったいこの靴下はいつ履くものなのだろうと思った。
 こんな分厚い靴下を履いたらスニーカーも履けないし、部屋の中ではいつも素足だ。
 下着類が詰め込んである棚に押し込んで、しばらく忘れていた。

 最近、寒くなってきたから、部屋の床が冷たい。
 あの靴下のことを思い出して、棚を探ると、入れた時のままそこにある。
 試しに履いてみる。
 内側のふかふかの毛がここちよい。靴下というよりも、毛袋という感じだ。
 ふくらはぎからつま先まで、あたたかいふわふわに包まれているという感覚は、今まで味わったことがないものだった。
 床に立ってみると、冷たさはまったく感じない。
 靴下のため、フローリングの上で滑りがよくなった。すこし床を滑って遊んだ。
 足があたたかいと心強かった。

 靴下を贈ってくれた知人は、北国の生まれだ。とても寒い地域で生まれた。
 だからもしかしたら、知人もかつてはこんな靴下を履いて過ごしたのかもしれない。
 その靴下も、誰かに贈られたものだったらいいなと思う。
 ふかふかの靴下を贈ろうと思う人の心こそが、何よりあたたかいのだから。

 

今週のお題「わたしは○○ナー」