考えるだけでしあわせになること

 ゲームをしている。
 時々、敵のチームに勝てるようになってきた。
 敵のチームに勝てる時は、大抵仲間にものすごく強い人がいる時だ。
 その人がチームを引っ張っていく。特に何も指示を出さなくてもそれがとても自然に行われる。要するに、その人は一人でも強いし、同時に「仲間が戦いやすくなる戦い方」をしているんだと思う。
 強い人は敵に突っ込んで行っても死なずに帰ってくる。敵が強い人にフォーカスしている時、私は横から無防備な敵を撃つことができる。弱い人が突っ込んで行くと2秒くらいで倒されてしまう。そうなると敵チームが3人で突っ込んでくるので、為す術もなく負ける。
 強い人がひとりいるだけで、仲間が全員強くなる。味方に強い人がいない時はすぐやられてしまうので与ダメージ150くらいしか出せない。しかし一人強い人がいるだけで与ダメージは1000くらいになる。私自身が強くなったわけではないのに、私もそれなりに戦えるようになる。キャリーされるという言葉の意味がわかる。小魚の群れがまるでひとつの巨大な生き物のように振舞うように、チームはひとつになる。先頭には強い人がいて、その行動のひとつひとつが無言のままチームを有利に導いている。
 近距離だとすぐ負けるので中距離武器を持つようになった。敵チームが隠れている建物を制圧したいときに中距離から狙っていると、敵の行動範囲を制限することが出来る。敵が建物から出てきたら撃つ。当たらなくても撃つ。すると敵はどこから撃たれたか分からないので建物に入る。外に出られなくなる。チームの二人がその間に建物に突入してファイトする。ファイト中に勢い余って敵が建物から出てくる。私はそれを撃つ。敵は弾に当たらないように次々に移動しなければならない。完全に見失う前に仕留めることが出来ればラッキーだし、敵がどこに逃げたかをマークするだけでチームは戦いやすくなる。敵チームがひとりダウンしたら私も距離を詰めてファイトに参加する。数が有利になったら近距離でダメージを狙った方が勝ちやすい。こういう戦略を考えるのはとても好きで、何かに似てるなと思ったら将棋だった。私は香車みたいな役割をしていて、前線に突っ込むのは金銀だ。たまに歩と歩が突っ込んで行くこともあるけれどその時には戦場に一陣の風が吹いてすべては静かになる。1分ももてばいい方で、ダメなときは敵と目が合った瞬間にもう死んでいる。索敵が充分ではなかったり、位置が不利だったり、仲間がカバー出来ない時に襲われたり、様々なパターンでチームがあっという間に壊滅する。
 ゲームは楽しい。もうすこし続けよう。
 今日、スーパーに買い物に行って、カゴにチーンズインウインナーを入れながら「帰ったらゲームをしよう」と考えた瞬間、とても幸福な気持ちになった。それは強い真実だ。