にぶくひかる

 ゴールデンウィークは有限だったから幸福だった。

 初日は元後輩と秋葉原でカンガルーの肉を食った。食べながら少し具合が悪くなった。わたしはかわいいカンガルーの動画を見るのが好きだった。わたしはカンガルーの死体を分解して焼いたものを食べている。心の中で言葉にしてしまうと余計にグロテスクになった。この気持ちを覚えておこうと思った。わたしは死んだらわたしの死体を誰かに食べられてもいいと思っている。でもわたしの好きなものをわたしはあんまり食べたくないんだ。とても傲慢だ。

 二日目はゲームをしたり、洗濯をしたりした。ゲームは修行のようになってきて、あまりよくない。わたしの悪い癖だった。疲れるし、嫌な気持ちも増える。真剣になればなるほどそうなっていく。わたしにはセンスも才能もなかった。

 三日目は姉と姉の友人と自転車でショッピングモールに行った。快晴だったので顔と腕を盛大に日焼けして、赤く腫れた。ショッピングモールで煙草を吸った。それからフードコートで海鮮丼を食べた。フードコートはほとんど満席で、席を探すのにとても苦労をした。わたしと姉はフードコートのかなしみについて話し合った。時々わたしは自分のことをすごく性格がわるいのではないかと思うことがある。

 四日目は友人と居酒屋に行った。わたしはわたしが嫌いな人と遊びに行く話をした。共感されなかった。好きとか嫌いとかは大切な要素かもしれないけれどクリティカルな問題ではないとわたしは考えていた。好きでも嫌いでもない人と長い時間を過ごしたので、何かが鍛えられたのか、あるいは麻痺しているのかもしれない。

 五日目はゲームをして、すこし勉強をした。勉強の一番いいところは、いくらやっても後悔しないことだと思った。ゲームは、後悔することもある。すごくゲームが好きな友人に、おまえはいつもこうやってゲームを続けてきたんだなあ、と言ったことがあった。友人は「死ぬまでゲームをするんだ」と言った。わたしは羨ましくなった。